セラムン2次駄文短編

なぜか首が痛くて正面しか見れません。
兄に変な格好してご飯を食べているのを笑われました。
いや、痛いんだもん…。

予告通り更新です。

梅雨の季節に合う短編を。

続きから

うそつき　（まもうさ）

でっす。

十番中学を出てすぐ、怪しいなぁと思って急いで帰ろうとしたのに。

「降ってきちゃったぁ」

言葉通り、雨はぱらぱらと降り始めている。
雨脚が強くなるのも、時間の問題だろう。

「だぁから言ったじゃない。
びしょ濡れになっちゃうわね」

彼女の足元で黒猫が足を動かして一緒に走りながら文句を言う。

「もう、ルナぁ！」

ルナに文句を言おうと下を向いたとき、


どん！！


という音と共に何かにぶつかった。

「きゃぁ！」
「！」

転ぶと思ってうさぎは強く目を瞑ると、
待っていた衝撃は襲ってこず、強い力で腕を引かれた。


ぽすっ


「ったく、お前いきなりぶつかって来るなよな」

この声は…

「ち、地場衛！！」

うさぎは驚いてくっついていた身体を離した。
衛も握っていた腕を放してうさぎを見た。

「傘持ってなかったのか？」

大きな傘を差している衛は塗れているうさぎを見て、
傘を少し前に出し、雨を遮る。

「う、うるさいわね。
今日は晴れてたんだもん」

うさぎはぷいっと横を向いて答えようとしない。

「ったく」

衛は鞄を開けてタオルを出した。

ふわりとうさぎの塗れた頭にタオルが置かれ、
ごしごしと拭かれる。

「ちょ、ちょと！」

乱暴な拭き方に文句を小さく言い続けても、

「いーから拭かれてろ」

と言われてしまう。

「後は自分で拭けよ？」

衛は髪を拭き終えると、うさぎの肩にタオルをかけた。

肩からタオルと取り、腕を拭くうさぎに衛は声をかけた。

「ルナを拭いてやれよ。
濡れたままじゃ可哀相だぜ？」

『ありがとう』と言おうとした途端に、言われた言葉に遮られてしまう。

タオルをぎゅっと握ったうさぎに、
ルナを見て衛は言った。

ルナのため…にタオル…。
そっか、抱いても濡れないように…。

「ルナ、おいで」

沈んでしまう気持ちを隠すように、
ルナを抱き上げてタオルで包んで抱きとめた。

ルナは「にゃ～」と鳴いて衛を見た。
感謝のつもりだろう。

「おだんご頭の家はこの近くなのか？」

「あ、あんたに関係ないでしょ」

ルナを抱いたままうさぎは下を向いて答えた。

衛はそれを見て、苦笑した。

「ほら」

衛はうさぎの手を取って傘を握らせた。

「え？」

顔を上げると、意地悪な顔をした衛が笑った。

「傘、貸してやるよ」

「な、なんで？」

「このまま風邪でも引かれたら、目覚めが悪いしな」

うさぎは戸惑ったまま衛に聞いた。
傘を借りてしまえば、彼が濡れてしまう。

「で、でもあんたは？」

うさぎは傘を握ったまま、きいた。

「俺は誰かさんと違って折りたたみも持ってる」

「な！！」

心配して聞いてみれば、意地悪な答えが返ってきたため、
うさぎはぷぅと頬を膨らませた。

「それに、今は梅雨だぜ？
折りたたみ位持って置けよな、おだんご頭？」

余計な一言にうさぎは心配して損をしたとばかりに、

「～～～！！
知らないわよ！」

と言って、衛の意地悪な言葉に真っ赤になりながら、
後ろを向いて走り出した。

「じゃぁな」

衛は後ろ姿に声をかけた。
その声にうさぎは足を止めて、

「こ、今度！…返すから！！」

と言って、また走り出した。


「……またな」

衛は鞄を頭上に掲げ、走り出した。








久々の初期なまもうさ。
素直じゃない二人も大好きです。

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